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防災コラム 2020年

2020年5月コラム

2020年5月26日

緊急事態宣言以降の複合災害

 政府は5月25日、緊急事態宣言を解除した。4月7日の緊急事態宣言以来7週間で「ほぼ収束」したとの判断の結果である。
この間、感染者数の増減に対応し、宣言当時対象区域は7都府県であったが、16日には全国に拡大した。4月下旬から感染者数は減少傾向に転じ5月14日には区域は8都道府県になり25日に全面解除となった。解除後も東京都、北海道、神奈川県などまだ感染者の発生は続いているが、今後は第2波が起きないよう、三密を避け、ソーシャルディスタンスを守り新しい生活様式等により感染者数を極力抑えつつ落ち込んだ経済回復へ道筋をつけることになる。

◆近年いつ発生してもおかしくない災害として首都直下地震と南海トラフ巨大地震に代表される地震と前線や台風による風水害がある。
両地震は30年以内に70~80%以上の確率で発生すると言われ、想定される被害の規模も大きい。また読者の記憶に新しい風水害として平成30年7月豪雨や令和元年9月の主に千葉県を襲った台風15号、同年10月の台風19号があり、それぞれ記録的な暴風や大雨をもたらし住民等は甚大な被害を被った。ただ風水害は近年ほぼ毎年のように起きている。
今年も間もなくその時期を迎える。その意味で今後は新型コロナウイルス対応の他に、地震と風水害が同時に、あるいはどちらかが起きる複合災害を想定する必要性がある。

◆大きな災害においては国、都道府県、市町村、企業などにおいて災害対策本部を開設し、小・中学校等においては避難住民のために避難所が開設される。
災害対策本部ではひっきりなしに災害情報の収集と報告通報、各種機能の影響と対策の検討、対策本部会議などがあり、多くの関係者が出入しさながら不夜城となりかねない。
また避難所には、関係町内住民、ときとして帰宅困難者が押し寄せるが、避難所の収容能力は十分でなく、そのうえ体育館等の個人に割当できる避難スペースは狭く足の踏み場もないこともある。いずれも過去の例では三密の状態になる。

◆こうした複合災害の事態に備え、緊急事態宣言が解除された機会に各種体制の見直しをしてはどうだろうか。
まず手始めは計画・マニュアルである。従来防災計画・マニュアルは災害別に作成されて災害相互の記述に乏しい。BCPにおいても内閣府の事業継続ガイドラインの趣旨に沿って策定している計画が多いと思えない。これらはウイルスなど感染症を考慮した内容に修正しなければならない。また組織のあり方、業務の運営についてもテレワークの緊急避難的活用から本格的制度化などこの緊急事態宣言において検討し実行した施策を今後とも継続してはいかがだろうか。ただし業種にもよりますが。
それを複合災害においてもつなげていかなければ新型コロナウイルス対策の決め手となる治療薬に可能性があるもののワクチンが開発途上の今、依然として第2波蔓延の脅威がある。


2020年5月8日

新型コロナウイルスと防災

 12月中国武漢市で発生した新型コロナウイルスは月単位の間隔をおいてヨーロッパ、アメリカに広がり、4月の時点では世界を席巻しているといっても過言ではない。日本では1月に初の感染者が発生、3月から急増し、4月に至っても感染者数は多い状態にある。

◆感染症のパンデミック(世界的大流行)は、紀元前から幾度となく繰り返されてきた。20世紀になってからはスペイン風邪(1919年)、アジア風邪(1957年)、香港風邪(1968年)、新型インフルエンザ(2009年)など10年~40年おきにパンデミックが発生してきた。

◆日本においてもスペイン風邪では2回の流行で約45万人が死亡し、新型インフルエンザでは、死者は少ないものの感染者は多数発生した。これらの影響は人的損害のみならず、経済社会・経営・防災にも大きな影響を与えている。こうした事態を受け国は2012(平成24)年に新型インフルエンザ等対策特別措置法を制定し、諸計画、ガイドライン(BCPを含む)を整備し、新たな感染症への準備をしてきており、様々な組織レベルにおいても整備してきた。
今重要なのは、こうした過去の教訓や諸制度を現在の新型コロナウイルス対策にどう具体化し、活かして対応しているかである。

◆防災については、BCPを「策定している」「策定中」の企業への質問に対し新型インフルエンザを想定している企業は、大企業で69.1%、中堅企業では49.5%とやや低い結果であった。【平成29年度「企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査(内閣府)】計画の策定は重要だが、計画策定後は実行するための態勢づくりと訓練が重要である。
実行の裏付けとなるのがBCP訓練である。訓練ではBCPの実行の可能性を検証することが出来、かつその組織の対策本部長等組織のリーダーが刻々と変わる情勢を的確に把握し、スタッフを活用してその推移を見極め、適切に指示を発出する等重要な経験を積む場面となる。次にこの訓練で得られた教訓を活かす、すなわちP(計画)D(実行」C(評価)A(改善)が重要になってくる。
その意味ではまさに今、国難に対しそれぞれの組織レベルにおいて、これまで培った準備(不十分な面も含め)と現実的な対応の適否が問われている。